7月15日(月)、ヒューストン日本人会の主催で、愛媛県産の新鮮な「みかんブリ」「真鯛」「しま鯵」などの試食会を、ヒューストン市内のレストラン「Kubo’s」で開催しました。「Kubo’s」では愛媛県宇和島出身の著名な寿司職人である石川シェフが魚をさばいてくださいました。
この試食会は、愛媛県庁漁政課からのお声がけで日本人会が調整し実現しました。愛媛県庁漁政課の皆さんは7月14日、15日、Gorge R. Brown Convention Centerで開催される「TRA MARKETPLACE」に、愛媛の養殖魚を「AIIKU FISH(愛育フィッシュ)」として出展するためにヒューストンに来られました。滞在中に、日本人会会員にも是非試食して頂きたいとの事で、愛媛県の魚をご提供頂きました。12日にヒューストン入りし、13日はセイワマーケットでも試食・販売を行うなど、目いっぱいのハードスケジュールの中での今回の試食会のご提案は、有難いの一言に尽きました。
当日、「Kubo’s」の壁には、愛育フィッシュの鰤や鯛が描かれた愛媛県庁ご持参の大きなバナーが貼られ、お店の中央フロアに並べられた3つの長テーブルは、愛媛県庁・漁連の皆様とと日本人会の参加者で埋まりました。
7時に、武智会長から開会の挨拶と今回の試食会についての簡単な趣旨が話され、続いて愛媛県農林水産部水産局漁政課長の橋田直久さんからご挨拶をいただきました。橋田さんが、今回持ってこられた魚を列挙すると、会場からは大きな歓声と拍手が沸き起こり、期待が高まります。ご挨拶が終わるやいなや、各テーブル、または個人で注文したレストランのメニューや飲み物のかたわら、石川シェフのさばいてくださった魚が次々と出てきました。
まず出てきたのは、漬けのみかんブリ。口に入れると、ピリ辛ながら、みかんの風味が鼻腔に広がります。みかんブリのうまみを生かしきったこの絶妙のバランスは、まさに名人芸。
会場は「美味しい!」「幸せ!」という声に混じる満足のため息で満ち溢れ、ブリは次々にお皿から消えていきました。残り少なくなったみかんブリを、沈黙のうちに互いにけん制しあうころ、今度は大皿に盛りあわせたお刺身が登場。みかん真鯛、養殖真鯛、養殖鰤、養殖シマアジ、養殖スマ(サバ科の魚)が彩りも美しく並び、見ただけで涎が…。日本を12日に出発したとの事でしたが、高い冷蔵・冷凍技術のおかげで、鮮度も良く保たれ、それぞれの魚の味と食感の違いを確かめることができました。
同行された愛媛県庁漁政課企画流通係の武田康担当係長と、愛媛県漁業協同組合宇和島支部総務部次長兼水産物加工センターの神森博営業課長から、愛育フィッシュについて、たくさんのお話を伺いましたので、ここに少しだけご披露します。
愛媛県は、日本一の養殖真鯛の収穫量を誇り、日本で流通している真鯛の50%を占めている。
愛媛県の鰤の養殖は、昭和36(1961)年に始まり、現在は日本第二の生産県となっている。
平成23(2011)年に、柑橘生産量日本一の特産を生かして、イヨカンを搾った残滓を鰤の餌に混ぜて、柑橘の香りがする「みかんブリ」の養殖技術を開発。魚の生臭みがないので、魚が苦手だという女性や子供にもよく食されるようになった。
黒鮪の養殖は、平成17(2005)年に宇和海で始まった。円形の生簀が特徴(鮪は泳ぎ続けないと死んでしまうため)。
天然と養殖を見分けるポイント1:天然の鯛は、鼻の穴が4つ(片側に2つずつ)あるが、養殖鯛は鼻の穴が片方ずつ1つにつながって全部で2つになっている。
天然と養殖を見分けるポイント2:養殖鯛は、天然鯛より頭が丸みを帯びている。
鯛の寿命は20年以上で、最大体長1m、体重は10kg以上に成長するものもいる。魚は、年をとるほど大きくなる。
宇和島の養殖魚は成長が速く、2才で体長40cm、体重1kgを超えるほどになる。
養殖鰤は、稚魚の時に一匹一匹予防注射を受けているため、大きくなってからの抗生物質の投与は少なくて済む。
餌や環境の改良により、愛媛産の養殖魚は安心安全で味も抜群になっている。(今回の試食会で確認済み。)
このほかにも、たくさんの苦労話や養殖の工夫や歴史について、楽しく興味深いお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。
ヒューストンでは、お寿司を食べられるお店が多いとはいえ、「お刺身だけでおなかがいっぱいになった!」と言えるほどの量を、しかも、こんなにたくさんの種類で食べられることはめったにありません。このような素晴らしい試食会を企画してくださった愛媛県庁の皆様と、これらの魚を美味しく料理してくださった石川シェフに心から感謝いたします。
ヒューストンに愛育フィッシュが流通する日を楽しみに、ヒューストン日本人会は、これからも愛媛の愛育フィッシュを愛し、応援してまいります。